【コラム】中国特許調査・翻訳動向
第6回:日本サーバー版CNIPRと特許翻訳ツールとの連携
第6回:日本サーバー版CNIPRと特許翻訳ツールとの連携
日本サーバー版CNIPRが発売され、中国特許調査にこのツールを活用する企業が増えており、今回は、高電社が販売している「J北京 特許翻訳エディション」を例に日本サーバー版CNIPRと特許翻訳ツールとの連携について記載する。
第2回で述べたように、日本サーバー版CNIPRを活用した調査において、「検索」→「検索結果の精査」のサイクルを繰り返す。最初に行う翻訳は、検索のキーワードを入力する際の日本語→中国語の翻訳である。「J北京 特許翻訳エディション」には6つの辞書(「小学館 中日・日中辞典」、「愛知大学/大修館書店 中日大辞典」、「大修館書店 中国語新語ビジネス用語辞典」、「日本工業出版 日中英技術用語ハンドブック」、「上海辞書出版社 現代漢語大詞典」)を搭載する「中国語デジタルマルチメディア大辞典」に加え、合計1,460,000語の専門用語辞書が搭載されており、これらの辞書を活用してキーワードを日本語から中国語に翻訳して入力し、検索する。
まず、「J北京 特許翻訳エディション」を用いた「中国語検索式の入力補助」利用法がある。当然のことながら検索式は中国語で作成する必要がある。中国語がわからない人が検索式を作成する場合、入力したい日本語のキーワードを「J北京 特許翻訳エディション」内蔵の辞書を使い中国語に変換し適切な検索式を作成する。日本サーバー版CNIPRでは、この作成した検索式をシステム内に蓄積し、複数の検索式を組み合わせて検索することもできる。
次に、「J北京 特許翻訳エディション」を用いた「中国特許のスクリーニング補助」利用法である。検索結果をスクリーニングしたい場合、複数の検索結果をエクセルやXML形式でダウンロードし「J北京 特許翻訳エディション」でシートごと一括翻訳し日本語で内容の精査を行うことができる。また、必要な公報内容を細かく確認したい場合にはPDF化された公報をダウンロードし、「J北京 特許翻訳エディション」付属の高性能OCRソフトを使いファイルをテキスト化した後、ファイルを一括で日本語に翻訳し精査を行うことができる。
わからない訳が出た時は、特許対訳エディタに該当分をコピーアンドペーストして翻訳する。そして、さまざまな訳語をユーザ辞書登録していくことで、「J北京 特許翻訳エディション」が提供する辞書に加え、自社なりの辞書を作っていく。この辞書自体も、蓄積量が増えていくとブラックボックス化することで、競争力の強化につながる。
執筆者: 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授 岩本 隆