【コラム】中国特許調査・翻訳動向

第3回:中国特許調査ツールの最新動向と押さえるべきポイント

第3回:中国特許調査ツールの最新動向と押さえるべきポイント

 中国特許を調査するためのデータベースは、大きくは、ファミリー型とローカル型に分類できる。ファミリー型は、ファミリーを単位とする、主に英文コンテンツにより主要国からアジア諸国までの幅広く網羅したデータベースであり、ローカル型は、言語をいち早くフルテキストで収録し、更新とデータにおいてより信頼性の高い中国現地作成によるデータベースである。グローバル出願の際にはファミリー型を活用する意味はあるが、ファミリー型はデータ蓄積においてローカル型に劣るのに加え、タイムラグがあり、中国特許を本格的に調査する目的においてはローカル型を活用する方がいい。
 ローカル型のデータベースは現在数十種類存在する。無料版、有料版があるが、それぞれでデータ蓄積量や更新頻度などに差があり、また、別名のデータベースであっても、実際は第1回で紹介したSIPO(State Intellectual Property Office)やCNIPR(China Intellectual Property Right Net)などを活用して有料で提供しているものなどもあり、それぞれの中身をよく見てみないと違いがわかりにくい。また英語版もあるが、翻訳精度の高くないため信頼性が低く、最近は、英語版ではなく中国語版を活用する企業が多い。
 さまざまなデータベースを比較すると、CNIPRが、更新が早くてデータの蓄積が多く、現時点では最もポピュラーだと言える。最近、日本にサーバを置いた「日本サーバ版CNIPR」がリリースされており、中国サーバ版CNIPRに比べ、中文と英文のハイブリッド検索ができ、1回でダウンロードできる件数が大幅に多い、検索スピードが速くなる、安定したサービスが提供できる、などの利点があり、使い勝手が向上している。
 データベースの活用において、大きくは以下のポイントを押さえる必要がある。

1. 自社に最適なデータベースを選定する
データベースはそれぞれ微妙な機能の違いもあればクセもあり、それぞれのデータベースの特徴を熟知しておかないとより良い結果が得られないため、データベースの選定は極めて重要となる。

2. データベースの機能・クセを知り尽くす
データベースを選定した上で、機能・クセを知り尽くし、それらがわかった上でデータベースを使いこなせるようになることが重要である。

3. 検索式作成ノウハウを蓄積する
第2回で述べた検索漏れを防ぐ目的に加え、膨大なデータベースの中からゴミやノイズをいかにうまく除去するかが効率的な調査には重要であり、そのための検索式をどのように作成するかがキーとなる。

執筆者: 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授 岩本 隆

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